2026-10-05|lullaby株式会社 代表取締役 坂口 大晟

補助金を受けた4万社は、いつ何を買うのか
——予算がついた企業の見つけ方

補助金を受けた4万社は、いつ何を買うのか

「予算がついた企業」を狙うのはABMの定石ですが、多くの場合は決算公告や資金調達ニュースといった、上場企業や大型調達に偏ったシグナルしか見ていません。もう一段地味だけれど裾野が広いシグナルに、補助金の受領歴があります。当社が保有する自社企業データベース(国内500万社以上を網羅。うちホームページ等で活動が確認できる企業を集計)を集計すると、補助金を受けたことがある企業は約4万社存在しました。この記事では、この数字を営業のタイミング設計にどう使うかを整理します。

補助金を受けたことがある企業は、約4万社

「補助金を受領したことがある企業」は、公開されている採択・交付情報をもとに当社データベースへ記録している項目です。件数を、他の「予算・投資の動きを示すシグナル」と並べると次のようになります。

シグナル該当社数
補助金を受領したことがある約4万社
全省庁統一資格を保有(官公庁と取引)約4万1千社
特許を出願約2万6千社
展示会でニュースを発表約2万5千社
ISO認定を取得約1万9千社
新規事業を開発約1万1千社
Pマークを取得約1万4千社
第三者割当増資を実施約8千社

補助金は、資金調達(第三者割当増資)や特許出願と並ぶ「投資余力・投資意欲」を示すシグナルの一つですが、対象になる企業の裾野が際立って広いのが特徴です。ものづくり補助金・IT導入補助金・事業再構築補助金など、業種を問わず中小企業でも申請できる制度が中心のため、約4万社という数字は特定の業種や規模に偏らず幅広く分布しています。

「補助金を受けた」が営業のタイミングになる理由

多くの補助金制度は、交付決定を受けて終わりではなく、そこから一定の期間内に対象となる設備投資・システム導入・人材採用などを実行することが条件になっています。つまり「補助金を受けたことがある」という事実は、単に予算に余裕があるというだけでなく、近い将来に実際の発注・導入という行動が控えている可能性が高いことを示すシグナルとして扱えます。

これはコンパウンドセールスが重視する「シグナル起点でアプローチのタイミングを合わせる」考え方と相性の良い切り口です。決算公告のように上場企業に限定されるシグナルと違い、補助金の受領は非上場・中小企業でも公開情報から拾えるため、営業リストの母集団を上場企業に絞り込む必要がありません。

4万社のままでは広すぎる——他の条件と重ねて絞る

約4万社という母集団は、業種・エリア・規模を指定せずにアプローチするには広すぎます。実務では、次の観点を重ねて絞り込むのが現実的です。

ICPの条件に「補助金受領の有無」を1項目として加えることで、母集団を「予算が付いている可能性が高い層」まで絞り込めます。

まず出すべき数字

補助金の受領歴を営業設計に組み込むときは、次の3つを順番に確認することをおすすめします。

  1. 自社のICP条件に合致する企業のうち、補助金を受領したことがある企業は何社か(母集団の中での割合)
  2. その企業が他にどんな投資シグナルを持っているか(採用募集・新規事業開発・特許出願等。重なりが多いほど優先度を上げる)
  3. 受領からどれくらい経過しているか(直近であるほど対象経費の執行期限が近く、タイミングとして有効な可能性が高い)

これらはいずれも公開情報から機械的に抽出できる条件ですが、条件を掛け合わせるほど「本当に今アプローチすべき企業」の解像度が上がります。COMPASS AIのリストは、こうした複数のシグナルを条件として指定し、該当件数を確認したうえで作成できます。

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出典:自社データベース(企業マスタ2026年5月時点)を集計。調査会社による統計ではなく当社データベース上の実測値のため、日本の全法人に対する比率ではありません。補助金制度の一般的な執行期限に関する記述は、ものづくり補助金・IT導入補助金・事業再構築補助金など公的な補助金制度に共通する一般的な仕組みの説明であり、当社データベース上の個別企業の受給内容を示すものではありません。