営業リストの作り方を比べる
——購入・自作・AIディープリサーチを「使える行」で選ぶ
営業リストの作り方は、「何社載るか」ではなく「そのうち何行に連絡先が入り、いつの情報か」で選ぶのが正解です。購入、自作、AIディープリサーチ(AIが公開情報を調べて企業を拾い、理由まで書く方法)は、強い工程がそれぞれ違います。この記事では3つを母集団・連絡先・鮮度の3点で比べ、最後に30社の試し打ちで決める手順を書きます。全体像は営業リスト完全ガイドにあるので、ここでは「AIに調べさせる」を加えた3方式の選び分けに絞ります。
3つの作り方は、何が得意で何が苦手なのか
先に結論の表です。◎○△は、商談獲得に使える行を作るという目的での筆者の評価です。
| 観点 | 購入(DB抽出) | 自作(手作業) | AIディープリサーチ |
|---|---|---|---|
| 母集団の広さ | ◎ 条件一つで数万社 | △ 数十〜数百社 | ○ 条件に合う企業を文脈で拾える |
| 文脈で絞る力 | △ 登録済みの属性のみ | ◎ 人が読んで判断 | ◎ ページを読んで判定 |
| 連絡先の入り方 | ○ 保有する範囲で入る | △ 1社ずつ探す | △ 公開されていない番号は出せない |
| 鮮度 | △ 更新時点で止まる | ◎ 調べた日が最新 | ◎ 実行した日が最新 |
| 件数が増えたとき | ◎ 単価は下がる | × 人手が比例 | ○ 実行量に比例して費用が増える |
この表で見落とされがちなのが「連絡先の入り方」の行です。AIは企業を見つけ、選んだ理由まで書けますが、ホームページに載っていない電話番号は、どれだけ賢いAIでも作れません。ここが次の節の主題です。
連絡先の入り方で、使える行は決まる
自社企業データベース(国内500万社以上を網羅。うちホームページ等で活動が確認できる企業を集計)の集計では、連絡手段ごとに取れる企業の割合は次のとおりでした。
| 連絡手段 | 取得できる割合 | 出典 |
|---|---|---|
| 代表電話番号 | 約50% | 自社データベースの集計 |
| 代表メールアドレス | 約20% | 自社データベースの集計 |
| 問い合わせフォーム | 約10% | 自社データベースの集計 |
つまり公開情報をたどる限り、リストの半分は電話をかけられず、メールが届く先は2割です。これは購入でも自作でもAIでも同じ天井です。違いが出るのは、その天井にどう近づくかです。
海外のデータ基盤Clayは、この問題を「ウォーターフォール」で解いています。メールや携帯番号を、複数のデータ提供元に順番に問い合わせ、最初に見つかった分だけ費用を払う方式です。同社の記事(Data Waterfalls、2026-04-26)は、単一の大手提供元では携帯・メールの網羅が約30%にとどまるのに対し、順番に問い合わせると約80%以上になるとしています。ただし同記事の数字は同社の検証によるもので、手法や標本数は書かれておらず、第三者による確認もありません。同記事の中の例が示唆的で、ある提供元が返した携帯番号35件のうち30件は別の提供元とすでに重なっており、新しく増えたのは5件でした。提供元を足せば増えるのではなく、提供元どうしの重なりが小さい組み合わせだけが効く、ということです。
日本では、代表電話が無くても営業部の直通番号は取れる企業が約3万1千社あります(自社データベースの集計による)。これは部署直通の記事で詳しく書きました。連絡先の層を足すという考え方は、海外でも国内でも同じです。
AIディープリサーチは、どこまで任せてよいのか
AIに調べさせる方式の強みは、固定の属性では書けない条件を扱えることです。Clayの記事(Continuously find every account in your TAM, at scale、2026-07-28)は、「APACで、ソフトウェアエンジニアが20人以上いる、または5職種以上の採用中の会社」のような文章での検索を公開ベータで提供しています。同記事の例では、欧州・中東・アフリカの約1,600万社から技術者50人以上の企業を絞る作業が、従来は約350の表に分けて数時間かかっていたのに対し、1分未満・費用98%減になったと書かれています。これも同社の一つの例にもとづく主張で、網羅率や精度の数字は出ていません。
ここから読み取れる、任せてよい範囲は次のとおりです。
- 任せてよい:条件に合うかの読み取り(採用ページ、ニュース、事業内容)/選定理由の下書き/固定タグで取りこぼす層の発見(固定タグ検索の限界の記事を参照)
- 任せきれない:公開されていない連絡先の補完/NG・既存客・商談中の除外(社内の正本と突き合わせるルール)/出力された企業が実在し条件に合うかの最終確認
つまりAIディープリサーチは「誰に当てるか」を広げる道具で、「どこに届くか」を増やす道具ではありません。後者は購入データや部署直通のような、別の層で補います。
どれを選ぶのか——母集団の大きさと条件の書きやすさで決める
| 状況 | 向く作り方 | 理由 |
|---|---|---|
| 狙う企業が数十社で、全社を深く調べたい | 自作+AIの下書き | 件数が少ないので人が読める。AIは調査の時間を減らす用途 |
| 条件が業種・規模・地域で書ける | 購入(DB抽出) | 属性で書ける条件は、DBのほうが速く安く、連絡先も揃いやすい |
| 条件が文章でしか書けない(「新店舗を出した」「採用を強化している」) | 購入で絞ってからAIで判定 | 数万社をAIに読ませる前に、属性で数千社に減らして費用を抑える |
| 大量に電話・メールで当てたい | 購入を軸に、連絡先の層を足す | AIが見つけた企業でも番号が無ければ架けられない |
3行目の「絞ってから判定」が、実務では最も使い道が広い組み合わせです。AIの実行量が費用に比例するなら、読ませる前に母集団を減らすことが、そのまま費用管理になります。
30社の試し打ちで決める手順
方式の優劣は、自社の商材で試さないと分かりません。次の手順なら、1日で結論が出ます。
- 同じ条件文を3方式に渡し、それぞれ30社を出す。条件は「半年以内に営業職を募集した、従業員50〜300人の会社」のように、実際に狙いたい文で書きます
- 30社×3方式を、4項目で採点する。①条件に本当に合うか ②代表電話か直通が入っているか ③ホームページで実在を確認できるか ④過去の取引・NGと重なっていないか
- 「使える行」の数を数える。4項目すべてを満たした行が、実際に架電できるリストです。30行のうち何行かを方式ごとに並べます
- 使える行1つあたりの手間と費用を比べる。行数が同じなら安い方、費用が同じなら使える行が多い方を選びます
この比較で、AIの出力に連絡先が足りない場合は、AIで企業を選び、連絡先は購入データで埋める組み合わせになります。リストの質を全体で見る視点はリストの質がAI営業の成否を決める理由にまとめています。
つまずきやすい点
- 「社数」で比べない。10万社載っていても、架電できる行が5万なら実質の母集団は5万です
- AIの出力を、確認なしで架電に回さない。最初の100社は目で見て、実在と条件の一致を確かめます
- 海外ツールの網羅率を、国内にそのまま当てはめない。Clayの数字は主に海外の企業・人物データでの話で、日本の中小企業が同じ網羅率になるとは書かれていません
COMPASS AI のリストは、条件を日本語で指定すると、該当件数と、そのうち代表電話・部署直通が取れる件数を購入前に確認できます。試し打ちの30社をそのまま依頼することもできます。
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この記事は「営業リスト完全ガイド——作り方・買い方・質の見極めを500万社以上の実データで解説」の一部です。全体像はそちらからどうぞ。
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該当件数とお見積りを1営業日以内にお送りします。条件が決まっていなければ、日本語で書いていただくだけで構いません。
出典:Clay「Data Waterfalls: How to Maximize Contact Coverage with Clay」(2026-04-26)/Clay「Continuously find every account in your TAM, at scale」(2026-07-28)/自社企業データベース(国内500万社以上を網羅。うちホームページ等で活動が確認できる企業を集計。企業マスタ2026年5月時点・部署マスタ2026年3月時点)の集計による。調査会社の統計ではなく当社データベース上の実測値のため、日本の全法人に対する比率ではありません。Clayの数値は同社の検証・主張であり、独立した確認は行われていません。